今更ペルソナ3を初見プレイしたオタクの感想文 4/12追記版

 めちゃくちゃ今更P3Pを初見プレイしたオタクがクリア後の「ペルソナ3めちゃくちゃ最高じゃん......」という気持ちが抑えきれなかったので書き散らす感想文です。ペルソナ4とペルソナ5はクリア済です。1と2は未プレイです。

 

 

 

ペルソナシリーズでいつも楽しみにしているのがコミュニティで、特にペルソナ使い以外とのコミュが好きなのですが、ペルソナ3は男主人公だと課外活動部の男性キャラとのコミュニティが無い分ペルソナ使い以外とのコミュが多いように感じました。

 

そしてどのコミュもめっっっっちゃ良くて......活動部内の動きやメメント・モリという作品テーマ、そして主人公のラストを考えてコミュのことを思い返すと最高過ぎて頭がおかしくなったので感想文を書きます。主に1周目にMAXにできたコミュの感想なので一部感想を書いてないコミュもあります。

 

 

 

 

 

・魔術師(友近健二)

ゲームを始めたとき男主人公は活動部の男キャラとコミュが発生しないことを知らず、順平が魔術師コミュだと信じて疑ってなかったので突然友近と魔術師コミュが発生したとき誰やねんお前!!!!!!!!ってなりました。魔術師コミュ、P4もP5も相棒ポジションのペルソナ使いと発生するコミュだったから......まさかただのクラスメイトと発生するとは思わなくて...... 

困惑まみれで始めた魔術師コミュでしたが、ゲーム序盤は課外活動部が特捜隊や怪盗団みたいに気心の知れた仲間って感じじゃなかったので(それはそれで状況的に正しい距離感だし新鮮で好きだった)友近と学校帰りに何か食べにいったり何でもない話をする日常が凄く高校生らしくて楽しかったです。 

友近、総じて「日常」っていう概念力が高いんですよね......ペルソナ3は特にペルソナを使って戦うのが夜だと時間が決まっているのもあって、夜は非日常、昼は日常っていう非日常と日常の境目がはっきりしてるなと感じたんですが、その中でも特に友近はかなり日常らしい存在だなと思いました。戦う主人公が守りたいと願った温かい日常概念が大好きなオタクなので友近と過ごす日々がくだらなくもいとおしかったです。

エミリの件に関してはまあ玉砕するだろうなとは思ってたのですがてっきりランク5くらいでフラれたー!!ウワーーン!!展開になると思ってたので普通に付き合い始めてびっくりしたし結婚まで考え始めたときは8割方騙されてるだろうけどここまで来たらお前の恋応援するよ......ってなったし駅前で本命の彼氏と話してるエミリを見たときはエミリてめーーーーーっっっ!!!!!って普通にキレ散らかしました。

そのあと友近が「『エミリ』と付き合いたかったのか『教師』と付き合いたかったのかわからない」と肩書きによる関係性と個人同士の関係性に悩んだあと、「でも『お前』と『親友』で良かったよ」って主人公に対して肩書きと個人をひっくるめた親愛を向けてくれたのが嬉しかったです。

 

 

・皇帝(小田桐秀利)

推しコミュその1です。ランク1~6までで既に良質な秩序善属性野郎(ここで言う秩序善属性野郎とは己の信じる正義を貫きすぎて道徳的に正しいことをしているけど正しすぎるが故に世の中で生きづらそうにしている人を指します)の波動を感じてだいぶ好きだったんですがランク8で完全に頭おかしくなりました。世間を敵に回した人の末路を知っているにもかかわらず「全校生徒を敵に回しても、君は守る」って言ってくれるのヤバくないですか……?そのあと「全校生徒を敵に回しても、か……悪くないな」って笑うの見たらもう好きになっちゃうじゃん……最高の男じゃん……

ゆかりちゃんが事件の責任を負わされたお父さんの件で世間から逃げるように引っ越したって言ってたけど、小田桐くんも同じように事件の責任を負わされたお父さんのことで何かしら言われたことありそうだなと思ってて、その経験から「真心だけではどうにもならない」という考えに至ったんだと思うし父のことを自分の親だと公に言えなくなったんだと思うんですが、主人公との関わりを通して「あの人も、すごい人だったんだな」と父と向き合えるようになった小田桐くんがめちゃくちゃかっこいいと思いました。あと体育教師が主人公に無実の罪を着せようとしたとき「大切な人が権力に踏みにじられる恐怖を感じた」って言ってたけど、このとき多分主人公とお父さんを重ねてて、お父さんのこと大切な人だと思ってるんだなってわかって二重に死にました。いや最高の男じゃん……(2回目)

挨拶回りの日は生徒会会長になったことを知らせてくれるのかなと思ってたんですが、予想に反して「生徒会を辞める」と言われて驚いたあと、権力の恐ろしさを知ったから上から押しつける改革ではなく下から育て上げる改革をするため教師になりたいって言う小田桐くんが最高過ぎてまた死にました。今後のペルソナシリーズで小田桐くんが学校の先生として授業してくれたら100万回死んじゃうな……オタクは軽率に死ぬので……

様々な経験をして、己と周りを省みて、自分の掲げる正義をより完成されたものにしていく小田桐くんが好きです。

 

 

・法王(文吉爺さん、光子婆さん)

死と向き合い未来の生を想うというテーマは他のコミュにも共通していますが、法王コミュの二人は自分の生ではなく死んだ息子が愛した学び舎の子供達の生を想う点がすごく良いと思いました。二人の息子を象徴する木が柿の木なのも好きです。柿は実をつける植物だから、生徒という実を育てる教師の職業に就いていた息子さんにぴったりだと思います。

柿の木が切られると聞いた二人は形を伴っていた息子の死がどこか遠くにいってしまうんじゃないかと思ったんだろうし、実際私も何も切らんでええやんけ!!!!て抗議するため学校の職員室に無駄に出入りしようとしてシステムの壁に阻まれたりしたんですが、おじいさんとおばあさんが「新しい校舎を建てるためなら切ってもいい。息子もそれを望むだろう」と結論を出すのを見て最高のコミュだ…………という気持ちに包まれました。法王コミュは毎回心にじんわりくる内容が多いですね。

挨拶回りの日に柿の木が高台に植え替えられることになったと聞いてすごく嬉しかったし、そのことについて「息子が愛した生徒達を一番よく見渡せる場所だ」と言っていたのもじんときました。課外活動部が約束の日に集まる場所を屋上にした理由も「守った世界を一番よく見渡せる場所がいい」だったので、通ずるものを感じて好きです。

 

 

・戦車(宮本一志)

P4の部活コミュはコミュが全体的に閉塞からの脱却がテーマっぽかったので普通の部活コミュとは少し違って(綾音ちゃんのコミュは比較的普通に部活してたけど)、P5はそもそも主人公の境遇の問題で部活に入れなかったのでP3の戦車コミュはめちゃくちゃ王道な部活コミュだーーーっ!!ってなりました。大会に勝つ約束を果たすために努力して怪我を負って練習を続けるか休むか悩んで……っていうの超王道ですよね……

「たとえ足が使い物にならなくなったとしても大会に優勝する」とがむしゃらに今を生きる眩しく子供らしい考えのあと、主人公に肩を貸してもらったときにふと「この先歩けなくなってしまったら周りの人に迷惑をかけてしまうんじゃないか」と現実的な未来を見つめる大人らしい考えを得る、世間が思っているより子供で世間が思っているより大人な高校生という年齢らしいコミュだったと思います。

怪我を押して大会に出場するっていうのはスポーツ漫画だと結構ありがちな展開で、スポーツ漫画はそのスポーツが作品世界の中心なのでそれで正しいと思うんですが、P3はスポーツ漫画ではないしペルソナシリーズの現実自体が結構実際の現実寄りなのでこういった結論に至るのは妥当だと思ったしすごく好きです。

そしてこれは他のコミュにも通ずることなんですけど宮本くんが挨拶回りの日に「来年の春の大会も一緒に出るんだからな!」って当たり前のように言ってくれるのが……辛くて……特に校内コミュのキャラが「これから」「いつか」「今度」を当たり前に話してくるのハチャメチャにしんどくないですか?挨拶回りの日ずっと泣いてた気がするし約束の日迎えるころにはティッシュが1箱無くなりました。涙腺が弱い。

 

 

 

・正義(伏見千尋

ペルソナシリーズ1周目は一筋プレイしようと思っていて、P4では雪子ちゃん、P5では一二三ちゃん一筋で遊んだんですが千尋ちゃんを見た瞬間この子一筋でプレイしよう……って決めました。ストレートロングヘア―の真面目で美人で清楚な女の子は可愛い。はっきりわかる。まあこのあと千尋ちゃんのコミュ進めてP3はP4やP5と違って強制股掛けになることに気づいて頭を抱えたんですけど……剛毅コミュ途中で止めたのは千尋ちゃん一筋プレイしたかったからなんですけど……

自分が好きな恋愛漫画を他の人に買われないように奥に隠す千尋ちゃん、普段の大人しい感じとはうって変わって自分が本当に好きなものに対しては意思が強くて可愛いなと思ってたんですが、そこからのランク9で美鶴先輩と主人公が2人きりで話さなければならないってなったとき「この人を取らないでください!!」って叫んで先生のところに猛ダッシュするのに脳をやられました。好きなものに対して意思が強いので…….そういうことじゃん……ラブじゃん……

女の子と過ごせるイベントも全部千尋ちゃんと過ごしたんですが綾時に死の宣告をされたあとのクリスマスに綾時の正体とか死の宣告のこととか世界が終わるとか何も知らない千尋ちゃんがイルミネーションを見て「綺麗ですね」って笑ってるのを見て千尋ちゃんのことがどうしようもなく大好きになったし、世界滅ぼしたくないな…..守らなきゃな……って思いました。

挨拶回りの日に「先輩のおかげで一人でも大丈夫ですから。来年もよろしくお願いします」って笑う千尋ちゃんはあの後多分主人公を失ってしまうんだと思うんですが、P4で八十稲羽の生徒達の前で堂々と喋ったり一人で番長に話しかけられる千尋ちゃんは主人公が守った世界で主人公から貰ったものを大事に抱えて生きているんだなと思うとP4のこともより大好きになりました。主人公が守りたいと願った日常概念~~~!!ウワ~~~~!!!好き~~~~!!!! 

 

 

・隠者(Y子)

主人公と何かしら接点がある人が実はY子なんだろうな~と思いながらコミュを始めて、夏休みが休日にカウントされててコミュできることとやたら日本語の使い方に気を遣ってるから国語の先生かな~ってあたりをつけたところで担任の先生じゃん!!!!?!?って気づいてひっくり返りました。鳥海先生結構しっかりしてる雰囲気だったからネトゲとイメージ結びつかなくてびっくりした……P5のべっきぃ並みの衝撃だった……

Y子が向き合った「死」は、ネットゲームの運営終了という死だと思います。ネットゲームやスマホゲームには買い切りのゲームと違っていつか必ずサービス終了の時がやってくるのが人間の命と同じだな……と思ってるんですが、Y子は終わっていくネットゲームの世界に初めは抗おうとしていたけど、自分を見つめ直して前に進むことを決めるのがある意味で他のコミュと同じく死を通して前に進むP3らしいコミュだなと思いました。挨拶回りの日の錯乱っぷりはめちゃくちゃ可愛かったです。進路相談のときの凄く頼りになる大人をしてるときとの差が凄くて……いや可愛かったな……

あとこれは他の先生にも言えることなんですが、終盤にカルトが流行り始めたとき先生たちが皆「世界の終わりなんて来ないからカルトになんか惑わされずに前見て歩け」って喝入れてくれるのが大好きでした。先生って「先を生きる」って書く職業だから、死とそれに連なる生がテーマの作品において先を生きる先生たちが頼もしい言葉をかけてくれるのがすごく正しく大人が大人をしていて安心しました。小田桐くんのコミュに出てくる体育教師や風花ちゃんの欠席をもみ消そうとした教師みたいなのもいるけど、同時に素敵な先生たちもいるのが好きです。身近な大人が頼りになるとどんな状況でも不思議と安心できるんですよね……月光館学園、良い学校だな……

 

 

・運命(平賀慶介)

たくさんの人が命を落としているP3という作品の中で命を救いたいと行動している様がとても心に残っています。挨拶回りの日に「人生初めての挫折かも」と言っていたところから見ても平賀くんは多分家庭環境がかなり良好で、そのうえ医者と文化部の才能もあって、親を亡くしているキャラクターが多い中悩みが「親の言いなりで医者になりたくない」なのもあってかなり恵まれたキャラクターとして描かれていると感じました。自分探しの旅に親のクレカ持っていこうとするしな。正直めちゃくちゃ笑いました。

そんな悩みを持つ平賀くんが「親の言いなりになりたくないから医者じゃなくて芸術の道を選ぶのか?」という疑問に直面したあと、主人公が怪我をして大切な人が命を失うかもしれない恐怖を味わったこと、どうしたって具合が悪い人を放っておけない自分に気づいて医者の道を志す過程がすごく良かったです。だってそもそも医者になりたくないなら学校で具合悪そうにしてる人がいても放っておけばいい話だもんね……慌てて適切な処置をするため駆け出してしまうあたり平賀くんはすごく医者に向いてる……

そんな平賀くんが挨拶回りの日に「君を失いたくないからね」って体調を案じてくれるのすごく泣いてしまったし、式典から飛び出した生徒を呼び戻すため屋上にきた生徒達が主人公の周りで呆然としたり泣いたりしてる課外活動部メンバーを見つけて校内がちょっとした騒ぎになって主人公が死んでるって話を聞きつけた平賀くんがすぐさま屋上まで走っていって「どいて!!」って人混みをかきわけて横たわってる主人公の元に行くんだけど医者としての知識を持っているからこそ一目で主人公がもう亡くなってること、手遅れなことを悟ってうなだれるみたいな展開は見たいじゃん…….!?!?(大妄言)

 

 

 

・刑死者(大橋舞子)

P4とP5は家や学校以外で出会う小学生キャラがどちらも塔コミュだったので刑死者コミュが発生したとき凄くびっくりしたんですが、同じくP4とP5における刑死者コミュがどうにもならない理不尽な状況における忍耐の話だったことを考えると親の離婚に巻き込まれる良い子というのは凄くぴったりだと思いました。

舞子ちゃんが向き合った「死」は、愛の「死」だと思います。人の命と同じように、無くなってしまった夫婦間の愛はどうしても戻らなくて、戻らないという事実に気づいたときそれにどう向き合うべきかという話だと感じました。小学生くらいの子供は親が離婚を決めたとき「自分を嫌いになったんだろうか」「自分のせいで離婚するんだろうか」「もう一度仲良くなってほしい」という不安や願望を抱くみたいな話をこの前読んだので刑死者コミュの完成度すげえ……って唸りました。

愛はもう戻ってこない、家族3人で過ごした幸せな日々はもう戻ってこないと納得した舞子ちゃんがそれを真摯に受け止めて、「お父さんは一人で生きていけるけどお母さんは一人だと何もできないから私はお母さんについていく」と決めたのあまりにも良い子過ぎて泣いちゃうよね……挨拶回りの日に舞子ちゃんのお父さんが「私の子供とは思えないくらいいい子だろう」って話してきた時ほんとそれな……ってなりました。舞子ちゃんのお母さんについていくことを選んだ理由が、同じ神社で発生する太陽コミュの「人は一人では生きていけない、与えあって生きていく生き物だから」って話と通じるところがあるのも好きです。

 

 

・節制(ベベ)

ベベ カワイイ オレサマ オマエ マルカジリ

入学式の日に廊下で先生と話してるのを見て一目惚れして以来家庭科室にあたりをつけて学力を上げるため毎日DHC定食を食べる謎の高校生と化しました。これでベベのコミュが家庭科室じゃなかったら膝から崩れ落ちるところだった。初めに教えたお別れの挨拶を毎回使ってくれるの超可愛くないですか?指定保護文化財か何かだと思う。

P3は作品テーマも相まって近しい人を亡くしているコミュキャラが多いなと感じたんですが、ベベの叔母さんは結構コミカルに死んだな!?とびっくりしたあと挨拶回りの日に貰える手紙で膝をやられました。死を通して自らの生を思い、人との繋がりを大切にしながら前を向いて生きていくっていうの完全にP3の作品テーマじゃん……挨拶回りは全部泣いたけどベベの手紙で一番泣いたかもしれない……着物の作品名として主人公の名前つけたってくだりでもうダバダバに泣いた……。ベベにとって主人公は日本にもう一度帰ってきたいと思う切欠になった存在でもあるけれど、同時に日本の外で頑張るための理由にもなる存在なんだと思いました。P3の高校生達、それまで漠然としか考えてこなかった「死」という存在に向き合って夢に向かう方向であれ現実を見据える方向であれどこかに一歩踏み出すのが本当に大好きです。

あとこれはどうでもいい話なんですが修学旅行の話題が出たときにえーーーっ絶対ベベと京都観光したい!!!ていうかベベに京都にいってほしい!!!!まあ実際修学旅行の行先が京都かは知らんけどな!!!!ガハハ!!!!って思ってたら本当に行先が京都でひっくり返りました。京都ではしゃぐベベ可愛かったな……

 

 

・悪魔(たなか社長)

P4とP5で存在は知っていたのですがまさかコミュ対象のキャラだとは思わなくて初めて会ったときめっちゃびっくりしました。テレビに出てる人じゃん!!!!てかオネェキャラなんだ!?!?!?って何かと新鮮な気持ちで始めたコミュです。

P4とP5ではいうて社長個人の人格を知ることはなかったのでP3で初めていろいろと知ることができたのですが思った以上に野心家かつ悪徳業者で笑いました。資本主義が形をとって生きている……。

でもぼったくられる主人公を説教する程度には完全な悪人ではなくて、主人公と自分の過去や今について話すにつれ何かしら思うことがあるくらいには情があって、だからといって改心して悪徳商売をやめるわけでもなく、だけどコミュMAXになったときは「私みたいな悪い大人に捕まってんじゃないわよ」って主人公を気遣うような言葉をかける按配がすごく好きです。恵まれない子供に寄付金を送ったの、未来への投資の気持ちも純粋にあるだろうしかつて貧しかったけどここまで上り詰めた自分のように恵まれない者が持つ精神の強さを信じてみたくなったからだといいなと思うしその切欠が主人公と普段誰にも話さないような赤裸々な事情を話したからだといいなと思います。

また寄付金のことも真実を明かさずマスコミを利用して逆に番組の宣伝をして去っていくところが資本主義~~~~!!!頭が良い~~~~~!!!!って感じで好きです。あのインタビューで株価が上がるのわかりを得まくる。

あとこれはどうでもいい話なんですがP4まではテレビで通販番組やってたたなか社長がP5ではネットで闇通販やってるの時代の流れを感じました。ネットの方が売れると踏んで市場変更したのかな……それともテレビから追いやられたのかな……P5プレイ時闇ネットにあまり注視してなかったので細かいところを覚えてないのが悔やまれます。

 

 

・星(早瀬護)

戦車コミュとはまた違った、スポーツと現実の折り合いのつけ方を描いた話だなと思います。てっきり何だかんだスポーツを続ける展開になると思ってたので就職するって話になったときすごく驚きました。

他のコミュキャラや活動部のキャラもそうですが、早瀬くんも親を亡くした子供の一人で、彼らを見ていると親の死は子供にとってかなりの喪失になるんだなと感じます。ただいないから悲しいっていうのもそうだし、高校生くらいになって現実に直面するとお金とか進路の問題とかでどうしていなくなってしまったんだと親の死に対して憤りすらしてしまうのが辛いなと思います。

早瀬くんのコミュの話は親の死を理由にして自分の足で立って生きることから逃げていたという点で天田くんとちょっと方向性が似てるのかなと思います。小学生や優秀なスポーツ選手が背負うには親の死というのはあまりにも理不尽だけど、怒っても泣いてもなくなった命は元に戻らないのが「死」で、そういった「死」とどう向き合うかが大切なんじゃないかとコミュをやっていて感じました。このあたりは課外活動部の仲間達のペルソナ覚醒にも通ずるテーマだと思います。

早瀬くんの引退は傍から見ればすごく惜しまれるもので、早瀬くんのチームメイトもすごく悲しかったと思うし私もコミュを進めていて何でこんなに真摯にスポーツに打ち込んでいて競技を楽しんでいる人が選手として生きられないんだろうってすごく辛くなったんですが、早瀬くんからすればこの選択は父親の死に真っ直ぐ向き合い納得した結果で、そういう決断ができるほど前に進んだ早瀬くんを星のように眩しく思いました。

 

 

 

・月(末光望美)

グルメキングって言われるくらいだから食べるのが好きなのかと思ってたらグルメキングはあくまで他称で食べるのは現実逃避の手段に過ぎなかったってことにめちゃくちゃびっくりしました。食の才能は末光くんの弟には無かった、紛れもなく末光くんだけの才能だったのに、生前弟と学力や見た目で比べられたせいで弟の死が呪いになってしまってずっとその才能に気づけないでいたんだろうなと思います。同性の兄弟、まして二卵性とはいえ双子とか確実に比べられまくるし傍から見て優秀な方だけ亡くなったとかまあトラウマものだよねっていう……

末光くんはエセ宗教を通して生まれ変われば聖域に行って美しい姿になれると死を逃避先にしていたけど、最後には弟の死の呪いから解放されて、死を逃避のために使うのをやめて、自分にしかできないことを極めて弟に話してやりたいって前を向くのが好きです。ペルソナ3において死は逃げ場じゃないんだよな……早く聖域に行きたい(早く死にたい)と言っていた末光くんが、主人公がニュクスと戦っているとき死の恐怖や心地良さに惑わされず必死に抗おうとしていたのがとても心にきました。

また、主人公が末光くんにかける言葉が「お前の代わりだっていない」なのも好きです。ネームレスで多くのペルソナ(側面)を持つ誰でもない誰かでありながらあなたでなければならないペルソナシリーズ主人公が皆大好きなんですが、そういった存在の主人公が「お前の代わりはいない」って言うのめっちゃ良いなって……主人公の代わりがどこにもいないように、末光くんの代わりもどこにもいない……

商店街の人達が末光くんの食べっぷりを気に入っていたように、末光くんが思っているより現実は末光くんに対して厳しくなくて、そういった世界で彼が弟に話しきれないほど素敵な経験を沢山していけたらいいなと思います。

 

 

 

・太陽(神木秋成)

推しコミュその2です。いやP3プレイしてこのコミュが好きじゃない人いなくないですか……!?(クソデカ主語)

P4刑死者コミュの、「かわいそう」の枠に押し込められる死の被害者の話で性癖を抉られたので太陽コミュ序盤の「みんな『かわいそう』だと僕を遠ざけるんだ」って話から既に好きすぎて倒れました。「死」、誰にでも訪れるものである筈なのに妙に特別でかわいそうなものとされがちなので…… コミュキャラや活動部の人達は死が身近にあるから死に向き合えるけど、普通の人は死に馴染みがないから神木さんや尚紀くんを遠巻きにしてしまうのかなと思います。

そして死を特別に思っていたのはきっと神木さん自身もそうで、だから人より早く死を迎えることを「どうして自分だけが」と嘆いていたんだと思います。そこからのコミュが進んでいくにつれて「もう『自分だけが』とは思わない。死は平等に訪れるものだから」って考えに至る神木さんが好きで……そして神木さんがそういう考えに至った切欠になったのが体の中に「死」そのものを宿していて、神木さんと同じように人より早く命を落としてしまう主人公なのがめちゃくちゃ良くて……神木さんと主人公、境遇的に結構似てるところがあってこの二人のふれあいが好きです。

コミュ序盤では「早くこの世界からいなくなりたい」と言っていた神木さんが主人公に「また会いたい」って言うようになるのも泣くんですよね。また会いたいってつまり生きたいってことだからさ……チドリちゃんもそうだったけど大切なものができると人は死んだっていいなんて思わなくなるからさ……

あと神木さんが物語を書き始めたときP4に出てきた物語のどれかが神木さんの書いた話だったりするのかなと思ってたらドンピシャでピンクのワニの話をされてヴォエッッッ……ってなりました。ピンクのワニの涙が湖を残したように、神木さんの絵本がこの世に残されたっていうのもう好きすぎるんですよね。湖がワニの涙だと誰も知らないように、神木さんがどういう経緯でこの本を書いたのか、どういう思いを込めて書いたのかを知る人はもうこの世にいなくて、誰もそれが残っている理由を知らないけど湖が/神木さんの物語が何かを与え続けているんだっていうP3からP4への続き方、これ以上ないシリーズ物ならではの表現だと思います。

神木さんが死ぬ前にお母さんと「生まれてくれてありがとう」「生んでくれてありがとう」という会話をしていたのも大好きです。この二つの言葉、親子関係における最大の祝福の言葉だと思っていて、そういう言葉を初めは生と死を呪っていた神木さんがお母さんに言えるようになったこと、またお母さんも息子の死にたくさん悩んだけど同じだけ息子が生きることへの喜び、子を持つことの喜びを神木さんから貰ったんだということが知れて本当に嬉しかったです。

クリア後にいろんな人の話を聞いているとやっぱり太陽コミュが特に好きという人が多くて、メメント・モリという作品テーマほぼそのものを高い完成度でお出ししてくるコミュだからこそたくさんの人に愛されているのかなと思います。太陽コミュという神木さんの物語が皆から愛されている構図、ピンクのワニの話がたくさんの人に愛されて読まれている構図と通ずるものがあって泣いちゃうな…。

 

 

・永劫(アイギス

推しコミュその3です。生と死がテーマの作品で命が無いロボットがパーティーメンバーになるのめっちゃエモいなって思ってたら途中からがっつりそういう感じの話が始まってひっくり返ったしアイギスとのコミュが発生した瞬間絶対にこのコミュをやらなければならない気がする……という使命感を感じました。最後の1ヶ月ちょっとをほぼ全てアイギスにつぎ込んで良かったです。

永劫コミュは作品の総括のようなコミュという印象です。人は絆で繋がってもいつか死んでしまう、という考えから、人は繋がり与えあう生き物で一人では生きていけないからいつか命が終わるとしても絆で繋がっていきていくんだっていうアイギスの考えの変化は、主人公の死が最後に来ると約束されていてもコミュで人と繋がって生きていくP3というゲームのテーマそのものだと感じます。

アイギスが初めに主人公の傍にいなければいけないと思ったのは彼の中にデスを封印したからという使命感からだったけど、日常を一緒に生きていくうちに一緒にいる理由がそれだけじゃなくなっていくのが凄く好きです。他のコミュでも再三言いましたが、アイギスとのコミュもまた「死(デス)」を通して「生(ロボットの命、主人公と過ごす日常)」を想うコミュなんだと思いました。

アイギスはコミュの途中で今が幸せならそれでいいじゃん、と無為に命を消費する人間を見て抵抗感を感じます。過去を悔やむのは苦しいけど、未来について考えるのは大変だけど、今この瞬間が幸せならそれで良いというのはきっと逃げてるのと同じなんだと思います。月コミュの項目でも話しましたが、P3という作品において死は逃げ場でも救いでもなくて、他人の死という過去と向き合い、自分の死という未来に向き合ってこそ人は誰かと絆を築いて前に向かって生きていけるんじゃないかってことを、アイギスのコミュは死なない命を通して伝えてくれたんじゃないかと感じました。

後はもう大体キミの記憶を聴くと永劫コミュを脳から直接摂取できるので全人類P3で永劫コミュランクMAXにしてキミの記憶聴いてくれ……という気持ちです。ロボットの命、人間の命、どちらにも真摯に向き合い作品ならではの答えを出してくれたP3が大好きだと思えるコミュでした。

 

 

 

 

初めに書いたようにペルソナ3のコミュは活動部以外のキャラクターとのコミュが多く、彼らは皆主人公から見れば影時間という非日常ではない「日常」を生きている人達です。そんな日常を美しく得難い、守るべきものだと提示してくれるのが綾時の存在だと思っています。

死の宣告者という文字通り死をふりまく存在でしかなかったファルロスが望月綾時として生まれたとき、たった一ヶ月だけど学校に通い修学旅行に行って日常を心から楽しみ「君達が死の恐怖に怯えるのは耐えられない」と課外活動部に自分を殺すよう頼むのは、主人公の中で主人公を通して穏やかであたたかい日常を経験したからだと思います。綾時と過ごした楽しい一ヶ月は、そのまま主人公が十一月まで過ごした日常が恐怖で支配されるべきでない眩しいものであることの肯定だと思います。

また、P3主人公は報われないという話を結構聞くのですが、コミュをやってみると一概にそうとも言えないんじゃないかと個人的に思いました。主人公がデスを体に宿した切欠は「そこに偶然いたから」という理不尽なもので、最後には命を落としてしまいます。太陽コミュの項目でも書いたように、人は死を悲しいと感じるから、世界を救ったのに死んでしまった主人公を報われないと感じるのは道理です。私も主人公が死んだと悟ったときはすごく悲しいと思ったしEDでずっと泣いてました。

でも、主人公が守りたいと願った世界で主人公との「いつか」「これから」を笑って話してくれる人達がいるから、主人公は最後まで死ぬことを怖いと思わず笑っていられたんじゃないかなと思います。主人公が自分の愛した日常を守ることができて、守った先の世界で彼が絆を築いた人達が主人公の死と向き合いながらも前を向き笑って生きていけるなら、またそんな世界があることをP4をプレイした私は知っているから、主人公は決して報われなかったわけじゃないと思います。

 

だらだら書きましたが要するにペルソナシリーズのコミュめっちゃ最高だな~~~~~~~~!!!!!!って思ったことだけ伝われば嬉しいです。ペルソナシリーズクリアしたことのある全人類好きなコミュの話を無限にしてくれ。